NtLive “Angels in America” をみて

NtLive2018 Angels in America
~Part1 Millennium Approaches~

2018年2月2日〜8日 @TOHOシネマズ日本橋

2月3日(土) 鑑賞

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   ずっと観てみたいと思っていた演目、有難いことにNtLiveラインアップ入り。久しぶりの映画館。

  なかなかに観応えがある。というのも、第一部の上演時間は3時間半。さらにそれだけでは完結せず、来月放映される第二部がまた4時間、合計7時間半にも及ぶお芝居である。すごい。

  トニークシュナーの戯曲。舞台は1980年代、レーガン大統領時代のアメリカ。AIDSが同性愛者だけがかかる癌だと思われていた時代のお話。

  演劇界において同性愛がテーマにある作品は多い。レント、キンキーブーツ、プリシラ、春のめざめ、ラカージュオフォール、スリルミー、ファンホーム、、、ざっと思いつくだけでこれだけある。

  同性愛者であるということに対し「人と違う自分」への苦悩や「自分らしくあること」の大切さに重きをおいた作品は多いが、AiAはなんというかもっとリアルというか、きれいごとでないというか、生々しい。

  「どんなに間違った醜いものであったとしてもそれを殺すために全力で戦ってきたとしたら?それ以上僕にどうしろっていうんだ?」自分が同性愛者であるということを必死に押し殺し生きてきたジョー

  愛しているのに、人には言えない。AIDSで弱りゆく恋人の姿をみていられず彼を置き去りにしてしまうルイス。

  「おまえは、ゲイだのホモだのレズだのっていうラベルに拘りすぎる。そういったラベルは、そいつがだれと寝ているかを指しているんじゃない。そいつが食物連鎖でどの位置にいるかをあらわしているんだ。... 男と寝るおれをホモと思うかもしれないが、おれはホモじゃない。おれには力があるんだ。 」と言い張るロイ。

  大きな事件が起きるわけでもなければ、救いの手が差し伸べられるわけでもない。むしろ皆が苦しんでいる。なんだかどうしようもない気持ちになる。でも実際、人生とはそういうものだ。その中で冗談を言ったり、文句を言ったりしながら生きていくしかない。「2人では良かったのに、病気と3人の同居は窮屈なのね」プライアーがルイスに語りかけるこの言葉に人間の弱さをみた。

  リアルであると散々述べてきたが、そこに挟み込まれる「謎の声」や「先祖たち」などファンタジックな要因が対照的でまた面白い。これから更にその色が強くなるであろう良きところで第一部がおわってしまい不完全燃焼ではあるが、時間を忘れるくらい集中し観ることができた。第二部、登場人物それぞれの人生が交わりあっていくのが楽しみである。